「ヴァイオリンを長時間練習したから、腱鞘炎になってしまった。」という話を聞きますが、腱鞘炎になるのは長時間練習したからではなく、無理な弾き方、ヴァイオリンを弾く時の姿勢が悪い事などが原因です。
ヴァイオリンを弾く時には、普段使わない筋肉を使うので、バイオリンを弾くのに必要な筋肉がついていないのに急激に無理な練習をしたり、ヴァイオリンを弾く時に力が入りすぎていたりすると、体の故障の原因となります。
なので、腱鞘炎にならないため、どこかが痛いと感じたら、ヴァイオリンを弾く時には出来る限り自然な姿勢で弾けるよう、どこかに力が入っていないかを考えながら練習することをおすすめします。
肩凝り・腰痛・腱鞘炎にならないためには?
ヴァイオリンを弾く時の姿勢
ヴァイオリンを練習中、疲れてくると肘が下がってきたり、左足か右足に体重を乗せていたり、楽譜を読むのに夢中で前かがみで猫背になっていたり、、、。
こんな姿勢をずっと続けていると、肩が凝ったり腰痛の原因になります。
※ちなみに、バイオリンの上げすぎも身体に負担がかかりますので、上げればいいというものではありません。
ヴァイオリンを弾く時は、健康のためにも、楽器の振動を止めないためにも、リラックスしていなければなりません。
両足に体重を乗せ、膝が少し曲がるくらいにし、腰でしっかりと上半身の重さを支え、頭は背骨の上に乗せ、楽器は肩に乗せ、軽く頭で挟みます。
リラックスして立つことが出来なければ、どこかに力が入り、それが弓を持つ手に伝わったり、左手が固くなってしまったりと、悪循環になるので、楽器を軽く持ち、リラックスして立てない場合は、原因を取り除いてあげてください。
顎当てや肩当を見直す
もし、楽器が上手に持てずに力が入っているなら、顎当てや肩当が自分の体に合っているか確認しましょう。
バイオリン肩当ては自分の体にフィットするものが一番【プロが使うおすすめ肩当】
肩の形、首の長さなど、皆違うので、自分に合っていないものを使っていると、楽器が上手に持てない原因になることもあります。
左肘が下がってくる
左手を添えなくても楽器が軽く持てて、体が自由なのに肘が下がってくるのは、上腕に筋肉がついていないからです。
この場合は、少しずつ練習時間を延ばして上腕の筋肉を少しずつ鍛えてください。
ヴァイオリンを弾く時の左手の形
左手が腱鞘炎になるという人をよく聞きます。
左手が痛いという方は、下記事項を確認してみてください。
左手を強く押さえすぎていないか?
楽器をきちんと持てていなくて、左手でネックを握っていたり、ネックを支えていると、左手に負担がかかります。
ネックを握っていないかは時々親指が軽くなっているか確認してみてください。
簡単な曲や短時間しか弾かないならいいのですが、超絶技巧や早いパッセージを弾く時には、左手は自由であり、軽く動くようになっていないと自由に指が動きません。
左手が痛い方、速いパッセージが弾けない方は、弾いているときに、手のひらが固くなっていないか確認してみてください。
手のひらが柔らかいまま弾けるように練習すると、速いパッセージが軽く弾けるようになり、腱鞘炎にもなりません!
重音練習は少しずつ
重音を練習する時、特に3度は左手に負担がかかります。
急に始めずに少しずつ増やして行く。
シェフチークのOP.9、他の重音の練習曲などを取り入れるなどして、少しずつ左手の筋肉をつけてください。
そして、10度は親指の位置を間違えてしまうと手を痛めてしまうので、リラックスして押さえられる親指の位置で練習することが大切です。
10度は1の指を伸ばせば決して広くなく軽々と押さえられる音程です。
弓を持つ右手
弓は弦を振動させて音を出す役割をするので、振動を止めない為にも手を痛めないためにもリラックスしていることが大切です。
リラックスしているといっても、親指、中指、薬指でコントロールし、弓元では小指で弓の重さを支えたりしなくてはいけないので、100パーセントリラックスは出来ませんが、細かい振動を止めないように出来る限り軽く持つことが大切です。
軽く持つには、バランスよく持つことが重要で、この微妙なバランスが分かると、音質がとてもよくなります。
弓が必要最小限の力で軽く持てているかは、練習しているときの音をよく聞くこと、自分の体に変な力が入っていないかを考えて練習することで、腱鞘炎にもならず、良い音が出るので、毎日自分の音、身体の声を良く聞き練習する事をおすすめします。
体の柔軟性と基礎体力をつけよう
ヴァイオリン演奏は優雅に見えますが、40分ほどの協奏曲を演奏するのは集中力・体力共に鍛える必要があります。
プールへ入る時に準備運動をするように、身体が硬いまま速いパッセージを弾いたりすると、体に負担がかかるので、楽器を弾く前にも準備運動をしましょう。
そして、ウォーキング・水泳などで体力を鍛えることも大切です。
肩凝り・腰痛・腱鞘炎を防止するヴァイオリン練習のまとめ
ヴァイオリンは一定の年齢に達してしまうと早いパッセージや超絶技巧を習得し、軽々弾くことが難しくなります。
出来ない事はないですが、小さい頃に習得した子に比べるとスムーズさが違います。
なので、早く進めようとし、10代の頃から難しいコンチェルトやパガニーニのカプリスなどの練習をさせる先生もいらっしゃいます。
子供の体は柔らかく、骨も軽いので弾けてしまうのですが、音が汚かったり、楽器が響いていない場合、どこかに力が入っている可能性があります。もしくはリラックスしすぎという場合もあります。
小学生の頃から難曲を練習している子は、成長期に少し基礎に戻ってボーイングだけなどフォームを直す期間を作ることが大切です。
手を痛めたり、腰を痛めたりして途中で弾けなくなってしまう事だけは避けたい、80歳になっても90歳になってもヴァイオリンが弾けるように体はリラックスしているけれど、しっかりと自分の弾きたいように弾きたい音が出せるようにコントロール出来る能力を付けられる練習をしてくださいね!
バイオリン上達に欠かせない基礎体力講座
練習しているのに上達しないという方、左手・右手を分けて鍛えていくことでどんな曲でも弾ける基礎が出来上がります。Shiho バイオリンアカデミーでは、ボーイングの持ち方、左手の形、シェフチークOp.1-1, 2-1を中心に動画と解説で左手をどう鍛えると音程が取れるようになるのか、良い音を出すには右手をどう鍛えていけばいいのかなど、バイオリンを弾くために必要な左手・右手の鍛え方レッスンを文章と映像でお送りしています。