バイオリンの曲の進度(子供編)

バイオリン子供の曲の進度

バイオリンを習わせていると、子供の曲の進度が気になります。

親御さんの中には曲の進度が速い子が上手だと思いがちですが、曲の進度が速い子=大人になった時に上手な人とは限りません。

何故なら、バイオリンは曲を弾けるようになったら終わりではなく、曲をどう魅力的に弾くか音色を変えたり、ダイナミックを考え、一つの芸術作品に仕上げていくものだから、曲のペースが速かったり技術が凄くても魅力的な演奏でなければ大人になった時に通用しないからです。

 

一つの曲を魅力的に弾くには、音程や綺麗なボーイングなどのバイオリンを弾く基礎・必要な技術を習得し、色々な音色を出す練習をし、楽譜を理解する勉強をすると同時に、感性・音楽的センスも育てていかないとなりません。

 

演奏に必要な事、【バイオリンを弾く基礎、テクニック、音色、楽譜の理解、音楽的センスなど】を同時に指導していくか、それとも曲を先行させるかは先生によって考え方はかなり違ってきます。

アジアは曲やテクニックを速く進める傾向にありますが、ヨーロッパは音楽的センスや歌い方を重視する傾向にあります。

なのでヨーロッパの音楽学校の曲の進み方は日本よりも比較的遅め傾向です。(※ヨーロッパでも音楽家の子供や特別な音楽学校の曲の進度は速いですし、アジアでもゆっくり進める先生もいらっしゃるので、ヨーロッパ、アジアとひとくくりにしましたが、本当に先生によります。)

 

曲だけを速く進めた子は後で基礎をやり直す事になりますし、練習ばかりして感性を育てなかった子は、後で感性を育てるために外に出て自然を感じたり、芸術作品を見たりと色々な世界を見る必要があります。

 

もし、世界で活躍するバイオリニストになりたいなら、主要な国際コンクールに参加できる年齢の16歳くらいまでに殆どのテクニックを習うと同時に基礎もしっかりと勉強する必要があるので、曲の進度はかなり速く進めますが、どこかの時期で基礎を固める時期も必ずあります。

そして、家での練習時間も3時間~6時間、多い子ではもっと練習しているという子もいる(6時間以上練習するよりも他の事を勉強した方のが音楽表現の幅が広がると思いますが、長時間の練習をする子もいます)。

 

もし、世界で活躍するようなバイオリニストになりたいと思ったら、曲の進度は速い事に越したことはないので、曲の進度が遅いのではと思った時には、師事している先生に相談してみたください。

 

最終目的が世界的なバイオリニストではない場合でも曲の進度は速い事に越したことはないですが、小さい頃に頑張りすぎて息切れしてしまう子もいるという事もありますし、小学校高学年くらいから中学1年生くらいまでにバイオリンの道に進みたいと自分で決めた子の吸収力も凄く、今までの遅れを一気に取り戻すケースもあります。

 

音階で綺麗な音程を取る練習や練習曲でテクニックを習得すること、音楽的センスを育てることも大切なので、同じ年代の子と比べる場合、曲の進度が速い遅いで比べずに、音程の正確さ、音の綺麗さ、音の発音の綺麗さ、ボーイング、テクニックなどを含めて自分のお子さんがどのくらいの位置なのかを考えてください。

 

今どのくらい弾けていればいいのかは、大人になった時にどのくらい弾けていて欲しいかを目安に考えてどのくらいのペースで進めていくと目標を達成できるかを考えることをおすすめします。

バイオリンの曲の進度

曲の進度が速いメリット

  • 新しい曲を弾くのは楽しいので、曲の速度が速いと子供のやる気が上がる。
  • どんどん新しい曲を譜読みすると、譜読み能力が上がる。
  • 曲の進む進度が速いと必然的に練習しなくてはならないので、練習する習慣がつく事もある。
  • 色々なテクニック、色々な時代の曲を勉強するので様々な弾き方を覚えられると同時に曲の知識も増える。
  • 何か月も同じ曲を練習していると飽きてきて練習がダラダラしてしまったりするのですが、飽きて練習をダラけるという事が少ない。
  • 手を開く10度やダブルフラジオレットは子供の頃に習得したほうのが比較的習得する時間がかからないのと、大人になった時に難しいと思わず弾ける。※無理やりに開かせるのではなく、正しい開き方で少しずつ手を慣らしていく必要があるので誤解のないように。

曲の進度が速いデメリット

  • 曲の進度が速いと、何となく弾けている状態で次の曲へ行くので、丁寧に仕上げる習慣がつかない。
  • 曲の進度が速くても曲と一緒に練習曲や音階などを勉強し、しっかりとした基礎を身につければいいのですが、曲だけを練習して進度が速いと壁にぶち当たる日が来る。
  • 音階や練習曲でバイオリニストとして使う筋肉を鍛えずに曲だけで難しいパッセージを長時間勉強していると身体を痛める事もある。

基礎練習の大切さ

バイオリンの曲の進度が速ければ上手という訳ではないのは、練習曲や音階をほぼやらずに曲だけを練習し、あっという間にスズキメソッドの教本を終わらせてしまうというケースがあります。

曲の中には音階とアルペジオが沢山出てくるので、バイオリンを上達する近道は、音階で音程を鍛え、練習曲でテクニックを習得することです。

そして、練習曲で習得したテクニックを曲の中で使ってみる。

これを繰り返す事でどんどん上達します。

 

曲の中でテクニックを学んだり、音程を取れるようにする事も出来ますが、曲だけ練習してどんどん進めていくのは、基礎をしっかりとしない土台の上に家を建て、後から崩れてくるものを次々と補修するようになってしまい、最終的には一度初心に戻り音階から基礎をやり直す必要があります。

曲の進度が遅いデメリット

基礎をしっかり教えてゆっくり進める先生、基礎を教えつつ曲は速く進める先生、とりあえず曲が弾けるようになったら先に進む先生。

曲の進度は先生によってかなり変わってきます。

ここで知っておいて欲しいことは、基礎にこだわりすぎると、曲の進度が遅くなり、毎回同じ曲を練習するので途中で練習が面倒になりやめてしまったり、ダラダラと進む癖がついてしまうので、曲の進度が遅すぎるのもデメリットになりかねません。

 

なので、子供の性格を見て、曲はある程度進めてあげたほうがいいと筆者は思っています。

何故なら、楽器がフルサイズになった際に基礎を見直す時が来るのと、中高生くらいになった時にヴィエニャフスキ、サラサーテやパガニーニなどの難曲が弾けるようになっている生徒さんは、バイオリンを弾くことが楽しいので、少しくらい悪い癖がついていても「上手になりたいから基礎をやり直したい。」と思えば、数か月~2年くらいみっちりと基礎をやり直すと、演奏がガラッと変わるからです。

しかし、基礎をやり直さずにどんどん曲だけを進めていると、大人になった時に「小さい頃は上手だったのにね、、、」と誰も振り向いてくれない演奏家になってしまう事もあるので気を付けてください。

 

逆のパターンもあり、進度が遅い子でも音階や練習曲でみっちりと基礎をつけておくと、12歳くらいになった時に上手くなりたいという気持ちがあれば、曲や練習曲の進み方がかなり加速して小さい頃に進度が速かった子に追いつくパターンもあります。

 

なので、曲をどのくらいのペースで進めるかと言うのは、お子さんの身体能力や性格によっても変わってきます。

 

大切なのは、バイオリンが好きな子に育て、毎日練習する習慣をつけておくことです。

そうすれば、上手になりたいと心から思った時に自分に合った先生を探し(まだ子供の時には先生探しは親の役目です)、猛勉強をして急速に上達する子が沢山いるからです。

 

もし、曲の進度に疑問を抱いたら、バイオリン教室の生徒さんのレベルを見て、自分の子が大きくなった時になって欲しいレベルの生徒さんがいない場合、他の先生を探す事も考えたほうがいいかもしれません。

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バイオリン教室・先生の選び方

まとめ

曲の進度はそれぞれの子の性格やどのくらい練習出来るか、どのくらいレッスンをするかによって変わってきます。

 

楽器がフルサイズになった際に基礎を見直す時が来るのと、中高生くらいになった時にヴィエニャフスキ、サラサーテやパガニーニなどの難曲が弾けるようになっている生徒さんは、バイオリンを弾くことが楽しいので、少しくらい悪い癖がついていても「上手になりたいから基礎をやり直したい。」と思えば、数か月~2年くらいみっちりと基礎をやり直すと、演奏がガラッと変わるので、曲を速く進める事も大切。

しかし、基礎をやり直さずにどんどん曲だけを進めていると、大人になった時に「小さい頃は上手だったのにね、、、」と誰も振り向いてくれない演奏家になってしまう事もあるので基礎もしっかりと身に着ける必要がある。

 

逆に進度が遅い子でも音階や練習曲でみっちりと基礎をつけておくと、12歳くらいになった時に上手くなりたいという気持ちがあれば、曲や練習曲の進み方がかなり加速して小さい頃に進度が速かった子に追いつくパターンもあります。

 

音階で音程を取れるようにしたり、弦に吸いつくように弾けるボーイングを追及するなど、バイオリンを弾く基礎力をつける事と曲の進め方のバランスを考えて進めることが大切です。