音大へ行っても食べていけない」と言われる時代。それでも娘が音楽院を選んだ理由

音楽大学

最近、「少子化で私立大学の維持が難しい」「音楽では食べていけないから音大へ行く意味はあるのか」という話題を目にすることがあります。

確かに、将来を考えると不安になる気持ちもよく分かります。

そんな中、この夏、娘はフィレンツェ音楽院へ進学する道を選びました。

今日は、私たち家族がどのように考え、この選択に至ったのかを書いてみたいと思います。

バイオリンが当たり前にある家庭

私はバイオリンを教えているので、娘はお腹の中にいる頃からレッスンの音を聞いて育ちました。

娘が小さい頃は、結婚式や披露宴などで演奏する仕事も続けていたので、子育てをしながらも毎日のようにバイオリンを弾いていました。

そんな姿を見て育った娘が、

「私も弾いてみたい。」

と言うようになり、2歳頃から遊びの延長で音符を覚え、3歳の誕生日からバイオリンを始めました。

気がつけば15年間、バイオリンを弾き続けています。

音楽だけではない高校生活

高校では経済や法律を中心に学ぶ学校へ進学しました。

イタリアの高校は留年も珍しくないため、我が家では何より学校の勉強を優先してきました。

試験前にはバイオリンを全く弾けない日が続くこともありました。

娘は語学や理数系が得意で、試験前にはクラスメイトに教えてあげているほどでした。

学校の先生方からは、

「工学部へ行ったら?」

「どうして音楽院なの?」

と何度も聞かれたそうです。

私たち親も、

「工学部や語学の道へ進むのもいいんじゃない?」

と話したことがあります。

実際、音楽院の試験に合格できなければ、医学部や語学の道も考えていました。

それでも最後に娘が選んだのは、音楽院でした。

音楽院へ行かなければ音楽は学べない?

私は、必ずしもそうだとは思っていません。

今の時代は個人レッスンもありますし、オンラインでも多くのことを学べます。

音楽院へ行かなくても演奏家になる人、楽器の指導をしている人もいます。

だから、「音楽院へ行かなければ音楽家になれない、音楽の仕事につけない」とは思っていません。

それでも大学だから学べることがある

ただ、音楽院には個人レッスンだけでは得られない環境があります。

音楽は楽器を弾くだけではありません。

和声。

曲の構造。

アナリーゼ。

音楽史。

室内楽。

オーケストラ。

そうしたことを専門の先生から体系的に学べます。

私は娘が小学生の頃から、子ども向けの楽典や和声の本を一緒に読んできました。

でも、やはり興味がないと続きません。

音楽史は歴史漫画が好きだったこともあり自然と覚えていましたが、和声や曲の分析は、

「難しい……。感覚で弾けるから大丈夫!」

と言って、数ページ読むだけで飽きてあまり頭に入らないという事が多かったことを覚えています。

それが、音楽院の試験があるからと少しずつ勉強を始め、今では日本語で説明できるくらいまで理解が深まってきています。

やはり、人は必要になると学ぶものなのだと感じました。

とはいえ、試験があっても面白くないと毎日進めるのは本当に少しずつ。

それでも試験があるので進めるしかないのがありがたいことです。

演奏技術だけでは人の心は動かない

技術は練習すれば少しずつ上達します。

でも音楽は芸術です。

難しい曲を完璧に弾けても、

「すごい。」

で終わる演奏と、

心が動く演奏は違います。

その違いを生み出すのは、音楽への理解や経験なのではないかと私は思っています。

だからこそ、音楽院という環境には大きな意味があると感じています。

同じ夢を持つ仲間と出会える場所

大学の価値は授業だけではありません。

同じように幼い頃から楽器を続けてきた仲間。

それぞれ違う専門分野を学ぶ学生。

第一線で活躍してきた先生方。

そんな人たちと毎日同じ空間で過ごせることも、大きな財産です。

もちろん、自分で先生を探して学ぶこともできます。

でも大学では、その環境が一つの場所に集まっています。

好きなことに思い切り没頭できる数年間。

それも大学ならではの価値だと思います。

音大だけの話ではないと思う

「音大へ行っても食べていけない。」

そう言われることがあります。

でも、それは音楽だけなのでしょうか。

外国語大学を卒業しても語学を仕事にしない人もいます。

経済学部を卒業して全く違う仕事に就く人もいます。

娘は高校卒業までに英語はケンブリッジ英検C2、フランス語はB2を取得しました。

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私は外国語大学へ行っていませんが、イタリア語検定C2を取得し、通訳や翻訳の仕事をしてきました。

だから私は、

**大学は資格を取る場所というより、「好きなことを深く学ぶ場所」**なのではないかと思っています。

もちろん、医学部など資格取得が目的となる学部は別です。

でも多くの大学は、「卒業したからこの仕事に就く」という一本道ではありません。

私たちが応援した理由

私は、音楽院がすべての人にとって最良の選択だとは思っていません。

人それぞれ向いている道があります。

娘には娘の興味や目標があり、その結果として音楽院を選びました。

将来どんな仕事に就くかは、まだ誰にも分かりません。

でも、好きなことを深く学び、多くの仲間や先生と出会い、自分自身と向き合う数年間年、きっと人生の大きな財産になると思っています。

だから私たちは、この選択を応援することにしました。

もしこの記事が、お子さんの進路について悩んでいる方や、音楽院を目指そうか迷っている方にとって、「こんな考え方もあるんだ」と思っていただけるきっかけになれば嬉しいです。

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