娘は今年の秋から大学生になります。
そこで初めて向き合うことになったのが音大の学費です。
私は日本の私立音大に通っていました。
学費以外にも、
- 学校外の個人レッスン代
- ピアノ伴奏代
- 発表会や試験の費用
- 一人暮らしの生活費
などがかかり、4年間で1,000万円を超えていたと思います。
日本の音大は国立でも4年間で約250~300万円、私立では500~800万円程度かかると言われています。
さらに専攻によっては、学校外でのレッスン代や伴奏料なども必要になり、実際の負担はそれ以上になることも少なくありません。
イタリアの国立音楽院の学費は家庭の状況で決まる
一方、娘が進学するイタリアの国立音楽院では、学費は家庭の経済状況によって決まります。
イタリアでは「ISEE」という制度があり、
- 収入
- 預貯金
- 不動産
- 車
- 家族構成
などを総合的に計算して学費が決まります。
そのため、収入や資産が少ない家庭では年間160ユーロ程度の固定費のみで通える場合もあります。
もちろん、イタリア人の貯蓄率、持ち家率は高く、車を所有している家庭も多いため、実際にほぼ無料で通える人はそれほど多くないと思います。
資産が多い家庭では学費も高くなりますが、それでも年間2,500~3,000ユーロ程度の音楽院が一般的です。
現在の円安レートで計算しても日本の国立音大よりも安く通えます。
フィレンツェの音楽院の場合
娘が進学するフィレンツェの音楽院では、学費の最高額は年間2,500ユーロです。
初年度は入学金などの諸経費が加わるため、合計で約2,740ユーロほどになりますが、それでも3,000ユーロ以下です。
外国人留学生も学校が指定する書類を集めて収入証明を提出することで学費が軽減される場合があります。
反対に、収入証明を提出しない場合は最高額が適用されます。
ピアノ伴奏代がかからないのも大きな魅力
イタリアの音楽院で驚いたのは、試験やレッスンで必要な伴奏者を学校側が用意してくれることです。
日本では伴奏ピアニストへの謝礼が必要になることも多く、試験や演奏会が重なるとかなりの出費になります。
その点、イタリアでは伴奏者を学校が雇っているため、レッスン時に伴奏者が来てくれても別途伴奏料を支払う必要がありません。
これは演奏家を目指す学生にとって非常に大きなメリットだと思います。
伴奏つきのレッスンもあるので、特に弦や声楽など伴奏つきで一つの音楽となる楽器奏者には音楽全体が分かるのでとても良いシステムだと思います。
海外からの受験者も増加
近年、イタリアの音楽院は特に声楽家を中心に人気が高まっており、海外からの受験者も年々増えています。
娘が受験したフィレンツェの音楽院でも、声楽科は希望者が多すぎるのでまずオンラインで書類や演奏動画による審査が行われます。
この審査を通過した受験者だけが、現地で行われる対面試験へ進むことができます。
受験希望者の増加に伴い、以前よりも選抜が厳しくなっている印象を受けました。
おわりに
イタリアは税金が高い国です。
それでも、「学びたい人が経済的な理由だけで進学を諦めなくて済む仕組み」が整えられているのは素晴らしいことだと感じています。
娘の進学を通して、日本とイタリアの教育制度の違いを改めて実感しました。
音楽を学びたい若い人たちにとって、進学先を考える際の選択肢の一つとして、イタリアの音楽院という道ももっと知られてよいのではないかと思います。