バイオリンを習っていると多くの人が悩む楽器選び。
フルサイズは沢山の選択肢があるのですが、3/4, 1/2サイズでよく鳴る良い楽器をと考えるとなかなか出会えないのが現実です。
では、「分数楽器はどのくらいのお値段なのか、どう選べばよいか?」
楽器買い替えの際に良く受ける質問ですので、バイオリン分数楽器の選び方、買うタイミングなどについて筆者の考えをまとめてありますので、楽器選びの参考にしてください。
楽器工房で作られた分数楽器が少ない訳
数年前ですが、イタリアの有名な楽器工房と好きな楽器製作者さんを探し、「子供のために1/2サイズの分数楽器を作ってくれるか、そして、分数楽器をオーダーする場合の価格はどのくらいか?」を何軒も電話をかけてききました。
そして、返ってきた返事はというと、「フルサイズでも分数サイズでも作るのにかかる時間は変わらないので、フルサイズと同じ額くらいもらわないと作れない。」でした!
当時のお値段は大体100-200万円くらい。
フルサイズならオーダー後にキャンセルしても他の買い手が見つかりますが、分数楽器だと難しいので、オーダーしたら絶対に購入しなければならなりません。
いくら有名なバイオリン製作者の方とはいえ、試し弾きをせず子供が成長する1ー2年間使う楽器に100-200万円くらいは出せないなと考え、オーダーはしませんでした。
当時は、本当に沢山のバイオリン工房に問い合わせをしました。
知り合いのバイオリン製作者さんも聞いたりして分かったことは、バイオリン工房で作られた分数楽器が少ないのは、フルサイズに比べると分数サイズの高額なバイオリン需要が少ないので、あまり作られていないのだそうです。
分数バイオリンの選び方
楽器工房で作られた分数楽器が少ないなら、「どんな楽器を選べばいいのか?」「良い楽器はどこにあるのか?」という疑問が出てきます。
国際コンクールなど高いレベルを求めている人
有名な国際コンクールへ参加をする子達は、オールドバイオリンや楽器工房の良いバイオリン・弓を使っています。
何故なら、良い楽器で練習をすると楽しいのでより上達しますし、ホールで弾いた時にやはり音が違い、良い楽器の子が有利になりやすいからです。
では、良いバイオリンを持っている子たちは、どうやって数少ない良い楽器を手に入れたのでしょか?
高額な楽器を買うご家庭もいらっしゃいますし、音楽学校から借りていたり、楽器を貸してくれるオーディションに参加をし貸してもらっていたり、楽器工房が貸してくれたり、コンクールに参加をして頑張っている子たちの所へは、何故かどこからともなく楽器が巡ってくるように思います。
なので、自分は高額な良い楽器を弾く価値があると思いよく探してみると案外出会えるものです。
分数楽器はあまり高くない楽器を探している場合
実際は、分数楽器に50万、100万、200万円も出せないという方のほうが多いと思います(オールドだともっと高いものもあります)。
そこで、筆者がいつもおすすめしているのは、予算より少し安いもの、予算くらいのもの、予算より少し高いものの分数楽器を楽器店に出してもらい、値段を聞かずに試し、気に入ったものを選ぶです。
値段を聞いてしまうと、高いものがいいと思い込んでしまう事がありますが、実際、高いから良い楽器という事は一概には言えません。
実際、高い楽器でも鳴らない、良くない楽器もあります。
ヨーロッパのオールド楽器が皆いかというと、中国で作られて日本やイタリアの工房で組み立てられたもののほうが良かったりしますし、逆もあります。
予算の上下を弾いてみて、物足りないという方は、予算をもう少し上げて探してみて下さい。
楽器は不思議なもので、楽器が人を選ぶような感覚を覚えることもあるくらい、頑張って練習している人の所へは思いもよらない時に良い楽器が手に入ったりするものです。
そして、もう一つ、楽器選びの際には、必ず楽器を鳴らすことが出来る人に弾いてもらう事。
楽器を鳴らせないとどれが良い楽器か分からない事が多いです。
そして、良い楽器は、遠くまで音が良く通ります。
そして、自分が弾いてこの楽器で練習したいと恋に落ちるような楽器を選んでください。
バイオリン分数楽器選び体験談
我が家の分数楽器は、1/8までは中国の工房で手作りされイタリアで組み立てられたものを使っていましたが、10年以上色々な子が弾いてきたからか?凄くよい音色のする楽器に出会えました。
しかし、1/2サイズの時には、弾いている曲も難しくなってきていたので、中国製では物足りないと色々な工房へ問い合わせをして探しに探しました。
有名工房でオーダーしようとも考えたのですが、手作りの惚れ惚れするバイオリンに出会えて即決。
その工房に紹介いただき、弓は有名な弓製作者さんがオールドのフレンチの折れた弓だけど材料が凄くいいからと子供用に作り替えてくれ、少し重たい弓でしたが、楽器の音が凄く良く鳴る弓に出会えました。
分数楽器を探すタイミング
楽器工房で作られた分数楽器が少ないと書きましたが、分数楽器の良い所は、フルサイズと違いサイズアップの時に下取りに出すことが多いという所で、過去何百年の間に工房で作られたバイオリンや工場製でも良い楽器が市場に出ることがあります。
なので、タイミングが良ければ良い楽器に出会えることがあるので、特に3/4, 1/2サイズで良い楽器をと思ったら早めに探し、これというバイオリンに出会ったらサイズアップにまだ時間があっても購入しておくことです。
少し早めに探すというのは、決める時間もたっぷりあるので、気に入る楽器に出会えるまで根気よく探してください。
使わなくなった分数楽器は、家で眠らせずに新しい楽器を買うお店に下取りしてもらうか、楽器買取専門店などへ売り、次の演奏者を探してあげてくださいね。