「周りの子はあんなに進んでいるのに、うちの子は…」
バイオリンの進度に関する悩みは、多くの親御さんが抱えるもの。特に子どもが小さいうちは、他の子との違いが気になって当然です。
でも、ちょっと視点を変えることで、見えてくる景色は大きく変わります。
この記事では、講師歴×母親歴のある筆者が、比較に疲れた親御さんに子供の進度とどう向き合うかのヒントをお届けします。
子どもが小さい頃は、比較してしまって当たり前
親である私自身も、子どもが未成年の頃は他の子と比べて悩んだことがあります。
ですが今振り返ると、「誰より先に進んでいるか」よりも、「どんな音楽家として育っていくか」「子供がどんな将来を描いているか」が大切だと気づきました。
バイオリンは、大学卒業後も学びが続き、40,50,60代になっても技術・表現力などを磨き続けられる世界。
子どもの頃の“進みの速さ”よりも、人生の後半にどんな音楽を奏でる人になるのか、どんな生活を送りたいのか──それこそが本質です。
若い頃から何を積み重ねていくかで将来どんな生活を送れるかが変わってきます。
バイオリンだけではなく、もう少し大きな範囲で考えてみると小さなことにこだわっていたことに気づくこともあります。
比較しても良い。でも「前向きな比較」を。
他の子と比べてネガティブになる必要はありません。
代わりに、「どこを改善すればいいか」「どうすればもっと楽しめるか」を見つけるヒントとして比較することは有効です。
✅前向きな比較とは?
-
「この子はこのテクニックが得意なんだな」→じゃあうちは基礎を強化しよう。
-
「進度が早いけど基礎は?」→うちは基礎をしっかりやっているから大丈夫。
進度の差=実力の差ではないことを知っておくと、気持ちがとてもラクになります。
曲の進度だけで実力を判断しないで
「早く難しい曲を弾いている=将来有望」と思われがちですが、それは誤解です。
バイオリンは「どれだけ難しい曲を弾けるか」ではなく、「どれだけ美しい音で表現できるか」が重要です。
進度よりも何を専門にするか、例えばバロックの専門家になる、基礎を教えたら世界一、難曲を弾くのが得意、歌う曲を弾くのが得意、、など、特異な分野を伸ばしていくことで将来の仕事につなげていくことが大切です。
バイオリン上達に必要なこと:
-
音程や音色、ボーイングなどの基礎技術
-
楽譜を深く理解する読解力
-
感性を育てる音楽的センス
進度が早くても基礎がなければ、どこかで行き詰まります。
逆に、進度が遅くてもしっかりとした基礎と感性を積み重ねていけば、いつか必ず伸びていきます。
世界を目指す場合と、そうでない場合で進度の意味も違う
もし将来、国際コンクールを目指すなら、16歳頃までに必要なテクニックを網羅していると有利です。
その場合、進度は早い方が良いです。
特に、小学生高学年くらいの子供のパワーは凄く、多くのことを吸収する時期なので、この時期までにバイオリンに集中して進めておくこと。世界の舞台へ連れていってくれる先生を見つける事をおすすめします。
でも、多くの家庭ではそこまでの専門性を求めない場合も多いでしょう。
その時は、「今、音楽を楽しめているか?」「毎日練習する習慣があるか?」が最優先。
親ができることは「環境づくり」と「見守る力」
子どもが「上手になりたい!」と思ったとき、飛躍的に伸びることはよくあります。
その時に備えて、**「楽しく続けられる環境」**を用意し、比べて苦しくなるのではなく、支えになる存在、子供に合った先生を探すなどのサポートをすることが、親の一番の役割です。
まとめ:比べることに疲れたあなたへ
-
子どもの成長は一人ひとり違います。
-
バイオリンの道は長い。今の段階は、まだ「途中」。
-
他の子と比べた時、落ち込むのではなく、成長のヒントとして活用して。
-
比較ではなく継続こそが、将来の力に変わる。
お子さんが「音楽が好き」「弾くことが楽しい」と感じ続けていれば、必ずその先に「上達」が待っています。
バイオリンの道はとても長く、ゴールは“今”ではなく“数十年先”にあるのです。