バイオリンが壊れる!? そんな悲劇を防ぐには?
梅雨や夏になると、バイオリンに不調を感じる方が増えてきます。
「A線がジージーと鳴る」「ボディが沈んできたように見える」「音が急に鳴らなくなった」
こんな症状は楽器トラブルのサインかもしれません。
実際、バイオリン修理には数万円から、場合によっては10万円以上かかることも…。
だからこそ、壊れる前にできる対策が大切なんです!
起こりやすいバイオリンのトラブルと原因
☀️ 夏の「バラバラ事件」
バイオリンは繊細に接着されているため、直射日光や高温多湿に長時間さらされると、
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ネックが外れる
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表板や裏板が剥がれる
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接着部分の劣化で音が鳴らなくなる
といった深刻なトラブルが起こります。
車のトランクや直射日光が当たる部屋での保管はNG!
🌧️ 梅雨や高湿度で起こる木の変形
木は湿気を吸って膨らむ性質があります。
湿度管理を怠ると、
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f字孔周辺の陥没
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ボディの変形
が発生し、音色や演奏性に大きな影響を与えます。
❄️ 乾燥地域で起こるひび割れ
乾燥した国や地域にバイオリンを持ち込む、クーラーの風に当てすぎると
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木にひびが入る
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板が割れる
という最悪のトラブルが…。
例えば、ロシアの極寒地域では東京の約100分の1の湿度しかない場合もあるのです。
相対湿度と絶対湿度の違いとは?
「ロシアの湿度は東京の100分の1」と聞くと驚かれるかもしれませんが、これは“絶対湿度”の話です。天気予報で使われる“相対湿度”とはまったく別の指標です。
相対湿度とは?
相対湿度は、空気中に含まれる水蒸気の量が、飽和状態に対してどれだけあるかの割合を表すものです。単位は%で、「湿度60%」などがこれに当たります。
絶対湿度とは?
絶対湿度は、空気1kg中に含まれる水分の質量(kg/kg’ など)を表します。実際に空気中に「どれだけの水分が存在するか」を表すため、バイオリンや木製楽器のコンディション管理にはこちらが重要になります。
同じ相対湿度でも、絶対湿度は大きく違う?
たとえば、極寒のロシア・ヤクーツクでは、気温が-49℃でも相対湿度が60%という日があります。東京のように気温が4℃前後で湿度60%でも、含まれる水分の“絶対量”はヤクーツクの100倍近くになるのです。
例:
ヤクーツク(-49℃・相対湿度61%)の絶対湿度:
→ 0.00003 kg/kg’
東京(3.9℃・相対湿度60%)の絶対湿度:
→ 0.00299 kg/kg’
⇒ 絶対湿度にすると、東京はヤクーツクの約100倍の水分を含んでいる!
バイオリンや木製楽器における絶対湿度の重要性
バイオリンは天然の木で作られており、空気中の水分量に非常に敏感です。
絶対湿度が低すぎると木が乾燥し、ひび割れや変形を引き起こします。特に乾燥地域や冬の暖房環境下では、楽器の保湿・湿度管理が欠かせません。
海外に持ち出す際や季節の変わり目には、必ず湿度計や加湿器、保湿材を活用して、楽器を守りましょう。
楽器を守るための便利グッズ【おすすめ一覧】
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🔹 デジタル温湿度計(有名弦メーカー製)
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小型でケースにも収まりやすい
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湿度記録機能つき
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デジタル表示で正確
🎯 湿度:20%~99%、温度:-35℃~50℃まで表示対応!
✅ 湿気・乾燥両方に効くグッズ
🔸 湿度調整材(かわいいバイオリン型・シンプル型)
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ケース内の湿度を安定化
かわいいバイオリン型
シンプルで目立たないものが好みの方用
筆者はシンプルなこのタイプを利用しています。
🔸 ダンピット(加湿器)
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乾燥対策に必須
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サイズ別で選べる(フルサイズ・分数用あり)
フルサイズ用
分数楽器用
✅ 温度差から守る!ケース選びも重要
🧊 BAM ハイテックケース(角形/シェル型)
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耐熱・耐衝撃に優れた構造
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サスペンション設計で衝撃を吸収
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ケース内を安定した環境に保つ
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気密性が高く雨や外圧にも強い
\ 重量が気にならなければ最強の保護力!/
力には自信がある・車移動が多いから角形がいい方はこちら。
ケースだけで守れない!環境管理の大切さ
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部屋の湿度は**40〜60%**を目安に
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直射日光、車の中、極端な寒暖差は避ける
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移動時はタオルで包んで楽器を保護するのも◎
まとめ|楽器は“生き物”と同じ。愛情と管理で守りましょう
バイオリンは手間がかかる楽器。でも、その分だけ豊かな音楽体験をもたらしてくれます。
「うっかり」で壊してしまわないために、湿度・温度・ケース選びを見直して、大切な楽器を長く使い続けましょう!