バイオリンを弾く時に肩当てを使うと楽器の響きを止めるので、肩当を使わないほうがいいと聞いた事がある人は多いと思います。
確かに、肩当てを付けることで楽器の響きを少し止めてしまいます。
しかし、肩当てなしでバイオリンを弾くことでバイオリンの上達を妨げてしまったり、身体を壊してしまったりする原因になるのも事実です。
バイオリンを弾き約45年、バイオリンを教え始めて約30年。
バイオリンを弾く時に肩当てをしないメリットデメリットをまとめました。
メリットデメリットを天秤にかけて肩当てをなしにするか、自分に合った肩当てを探すかを考える参考になればと思います。
バイオリンを弾いて45年、バイオリンを教え始めてから約30年。 自分に合うバイオリンの肩当を探し、何種類もの肩当を使ってみました。 なで肩、首が長いなどの理由から、なかなか自分に合った肩当が見つからないと何種[…]
バイオリン肩当を使わないメリット
バイオリンを肩当なしで弾くメリットは、楽器が響くです。
バイオリンは、弓で弦を振動させ、弦の振動が駒、そして楽器の表板、魂柱、裏板に伝わり音となります。
なので、裏板に肩当をつけることで、バイオリンの裏板の振動を少し止めてしまいます。
そして、裏板が響く時、肩当ての部分が多少なりとも振動を吸収したり止めたりするので、木製の肩当・楽器の音がそのまま響くと宣伝するカーボン製の肩当てを使ってみたり、肩当ての部分に振動を吸収されないように肩当て部分に穴が開いているものを使ってみたりするのです。
筆者も10種類以上の肩当てを試し、肩当ての素材に何を使おうが楽器のボディを押さえると振動が止まるからと鹿革で作った小さなクッションみたいな肩当を使ってみたこともあります。
しかし、どの素材の肩当てを使っても、楽器の響きを多少なりとも止めてしまうのは事実なので、バイオリンを肩当てなしで弾くプロ達がいるのです。
バイオリンを肩当なしで弾くプロ達
楽器の音を追求すると、一番楽器が響く肩当てなしでバイオリンを弾くという結論にたどり着くソリストやバイオリン講師がいます。
しかし、肩当てなしで弾くバイオリニストは、多くの人が男性でジャケットに肩パットが入っているので、肩パットが肩当て代わりになっている事が多いです。
女性の演奏家で肩当なしで弾いている方もいらっしゃいますが、肩当ても肩パットもなしで楽器を構える時には左手で少し楽器を支えています。
なので、バロックやクラッシックの曲なら弾けますが、肩パットなしでは楽器が安定しないので、超高速のパッセージや超絶技巧を弾くのは、無理に近いというのが筆者の考えです。
バイオリン肩当なしで弾くデメリット
他の先生から筆者の教室に移ってきた生徒さんで、肩当てなしで弾くと楽器が響くと肩当なしで弾いていた生徒さんがいました。
以前の先生が男性で、肩当なしで弾いていたから真似していたのです。
しかし、楽器が下がってくるので左手て楽器を支える状態で弾いていたので、姿勢が悪く、姿勢が悪いと音も悪くなり、楽器を安定して持てないから速いパッセージが弾けなかったのです。
【簡単な曲ならそれでも弾けるけれど、超絶技巧の曲を弾きたいなら肩当をつけて左手の自由を確保しないと早いパッセージは弾けないよ。】と言うと、肩当をつけるようになり、姿勢も改善しました!
バイオリンで良い音を出すためには楽器を響かせるのですが、そのためには身体の力を抜き、自由に演奏出来る事が大切です。
肩当てをつけずにどこかに力が入ってしまったら、その時点で楽器の響きを止めてしまいます。
なので、肩当なしで楽な姿勢で弾けないなら、肩当てをつけて体をリラックスして弾いたほうのが楽器の音は響きますし、左手が自由なので、超絶技巧も難なく弾けるようになります。
そして、首の長さがあまり長くなければ肩当がなくてもいいのかもしれませんが、現代の子供は首が長く肩当てなしで楽器を構えると頭が垂れ下がってバイオリンを構える姿勢が不自然になってしまいます。
成長期の大事な時に骨に変な負担をかけることになってしまい、側弯症やヘルニアにつながることもあるので、筆者は生徒さんに肩当てをつけることをすすめています。
バイオリン肩当てなしのメリットデメリットまとめ
バイオリンを肩当てなしで弾くと良く響きますが、肩当てなしで楽に持てない場合は、身体に変な力が入ってしまいかえって良い音は出なくなります。
成長期のお子さんは、骨も柔らかく、側弯症やヘルニアにならないためにも、自分に合った肩当を探すことをおすすめします。