大人の生徒さんが他の教室から移って来られると「大人から始めたからあまり上達しないんです」と仰る方が多いのですが、大人で練習時間があまり確保出来なくても効率の良い練習をすることで上達していきますし、練習次第では難曲も弾けるようになります。
ここではバイオリンを大人から始めるて「バイオリンを上手くならない」と感じる理由と対策についてまとめました。
大人からバイオリンを始めて上手くならないと思うのは何故か?
1. 時間の確保が難しい
大人は仕事や家事などをやる必要があるので、練習時間を確保するのが難しいのが大人からバイオリンを始めて上達するが難しい原因で、多くの方が練習時間の確保が難しいと感じていると思います。
特にフルタイムで働いている場合、毎日の練習時間を確保するのが大変なので、毎日練習しても15分だけ、もしくは30分。
もしくは、出来ない日もあるし、練習を出来る日でも1時間など子供に比べると圧倒的に練習量を確保するのが難しいというのが現実です。
バイオリンは身体を鍛えるスポーツのように同じことを何度も繰り返して身体を鍛えていくので、バイオリンを弾くために必要な筋肉をつけたり指がスムーズに動くようになるには、コツコツとした練習が必要になります。
時間が確保出来ない問題の対策
毎日少しでも練習時間を確保することが重要ですが、やはり仕事をしていたり子供が小さかったりすると自分の時間は後回しになってしまいます。
もし本気で上達したい場合、楽器なしでもバイオリンの練習はできますので、もし空き時間がありバイオリンの練習をしたければ朝の通勤時間や昼休みに楽器なしで左手だけを指の間の全音半音を考えて動かして練習する、動画を見てボーイングの動きを観察するなどもバイオリンの上達につながります。
そして、大人が子供よりも有利な練習方法は、頭を使った練習です。
バイオリンの弾き方の原理を分かれば、どうすれば良い音が出るか、どう音程を取っていくかが分かれば、考えずにただ指を動かして練習する、考えずにアップダウンをなんとなく弾いているだけという練習が少なくなり、効率の良い練習をすることで短時間でも上達につながる練習が出来るようになります。
2. 体力と集中力の問題
バイオリンの演奏は体力と集中力を必要とします。
大人になると、仕事や家庭のストレス、考えごとが頭から離れずにバイオリンの練習をしていても頭の中は他の事を考えていて音を良く聞いていなかったりします。
定年退職後の趣味でバイオリンを始めた方は、練習時間の確保は出来ると思いますが、左ひじをずっと上げておく筋肉をつけるのに時間がかかったり、指を速く動かすことを習得するのにはお子さんよりも時間がかかります。
体力と集中力の問題の対策
長時間練習せず、適度な休憩を取りながら練習することが大切です。
ボーイングの練習を集中して5分、左手の練習3分など、少しの時間でも集中して練習をするようにすると練習の質が上がり、短い時間でも上達することが可能になります。
短時間集中して練習するなどは子供に比べて大人の強い所だと思います。
体力的にお子さんに劣ってもバイオリンは力で弾いているのではなく、身体を上手に使って弾きますので、どうしたら指を速く動かせるか、ボーイングも力でフォルテを出している訳でははないのでコツをつかむことが大切です。
また、ストレッチや軽い運動を取り入れることで、体力を維持し、集中力を高めることができます。
3. 自己評価が厳しい
大人は自己評価が厳しくなりがちで、上達の遅さに対してフラストレーションを感じることがあります。
お子さんで上手な子は、小さい頃から何年も毎日の練習をコツコツと続けて来た子達なので、子供と比べない事が大切です。
自己評価が厳しい問題の対策
小さな進歩を喜び、自己評価を緩めることが重要です。
目標を細かく設定し、達成するたびに自分を褒める、数カ月前は出来なかった事が出来るようになった事を喜んだりするとモチベーションを維持することができます。
4. 正しい指導を受けていない
独学でバイオリンを学ぶことはかなりの時間がかかります。
正しい指導を受けていないと、間違ったフォームやテクニックが身についてしまうことがあります。これが上達を妨げる原因となります。
もしくは、習っていても正しいフォームが分かっていない可能性もあります。
正しい指導を受けていない問題の対策
月に2回でもバイオリン教室に通ったり、オンラインレッスンを受けたりすることで、正しいフォームやテクニックを学ぶ事が大切です。
もし何年も習っていても良い音の出し方が分からない、音程を取れないという場合は、先生との相性が合っていない可能性もありますので、他の先生のレッスンを受けてみても良いかもしれません。
バイオリンの弾き方は思っているよりもシンプルです。
5. 練習方法が効果的でない
効果的な練習方法を知らないと、時間をかけても上達しないことがあります。
単に同じ曲を繰り返し練習するだけではなく、基礎練習やテクニックの向上に焦点を当てる練習も必要です。
練習方法が効果的でないの対策
練習メニューを工夫し、基礎練習やスケール練習、エチュードなど基礎体力をつける練習が大切です。
そして、スケールやエチュードも何に気を付けて練習するか、練習する目的を知って目的を達成することで上達していきます。
例えば、ポジションチェンジの練習なら、ポジションチェンジをスムーズにする練習をしているのか、正しい位置に手が行く練習をしているのかなど、目的を正確にして練習することで効率良い練習が出来ます。
毎日の基礎練習をどう練習して良いか分からない方向けの講座です↓。
音程を取れるようになる左手の鍛え方、毎日のボーイング練習方法などが分かるようになります。
6. モチベーションの維持が難しい
大人は多忙な生活の中で、モチベーションを維持するのが難しいことがあります。
特に、上達が感じられないときや、他の趣味や仕事に追われると、バイオリンの練習が後回しになりがちです。
モチベーションの維持が難しいの対策
目標を設定し、達成感を得ることでモチベーションを維持することができます。
また、アンサンブルやオーケストラに参加することで、他の人と一緒に演奏する楽しさを感じることができます。
7. 環境の整備が不十分
練習環境が整っていないと、集中して練習することが難しくなります。
例えば、防音対策が不十分な場合、近所迷惑にならないかと気になって集中できないことがあります。
環境の整備が不十分の対策
マンションなどで音が気になる場合、防音対策をするか、時には弱音気を使うことで集中して練習することができます。
思いっきり弾きたい時にはカラオケボックスや練習室をレンタルしたり周囲を気にせずに弾ける環境を整えることも必要です。
まとめ
大人がバイオリンを上手くならないと感じる理由は、時間の確保の難しさや自己評価の厳しさに加え、効率的な練習方法が分かっていない事が多いです。
上達しないとモチベーションの維持も難しくなりますので、上達出来る環境、どういう練習をしたら上達するか、基礎が出来ていないなら基礎を教えるのが上手な先生を探すなどすることで確実に上達することができます。
大人からバイオリンを始め練習するのは大変な事もありますが、弾きたい曲が弾けたときの達成感も大きいものです。
バイオリンを自由自在に弾きこなせるようになるには時間がかかりますので、長い目で見て自分のペースで楽しみながら続けてください。