子供のバイオリンの練習に付き合っていると、ついつい怒ってしまったり、イライラしてしまう。
その原因は、「何で何度言っても出来ないの?」だったり、仕事が終わって練習に付き合っていると身体が疲れているから些細な事でイライラしてしまう、分からない事を聞かれて答えられずについ怒ってしまう、、、。等々。
バイオリンは、小さい頃に始めた場合、練習を習慣化したり、習った事を集中して効率的に練習出来るようにするために親の協力が大切な楽器なので、練習中に親子げんかに発展してしまうという話は良く聞きますし、筆者は自ら教え・一緒に練習してきたので、「なんで何度言っても出来ないの?」とイライラしてしまう気持ちも親子で言い合ってしまうという事も良く分かります。
バイオリンは、先生を見てすぐに真似が出来る子、運動神経が良かったり器用だったりして、なんとなく出来てしまう子、週に何日もレッスンに通える子、教え方が上手な先生の教えを親が家で上手に教えられる場合などは、どんどん上達しますが、そうでない場合は、勘違いして違う練習をしてしまったり、教えてもらったけれど、良く理解出来ていなくて違う事をしていたり、夢中になりすぎて気を付けることに気を付けられていなかったり、、、等々。
あちこち迷いながら進み、なかなか上達せず、長い年月、地道な努力をしながら少しずつ進んでいく楽器です。
もちろん、放っておいてもバイオリンのことが好きな子は自分でどうにか上達する道をみつけます。
しかし、子供の頃には自分が習いたいと思う先生を自ら見つけること、習いたい遠くの先生に習いに行く事は難しいので、何年、何十年とかかって上達する道を手探りで探すので、上達するのは大人になってからなど、かなり遠回りをすることになります(これはこれでいいと思いますが、親がサポート出来るならした方のが良いと思います)。
不器用だったり、見たことをすぐに出来ない子は迷路に迷い込みつつゆっくりと道を間違えては戻り、時には、今まで練習して来たことは何だったのだろうとガッカリしてみたり、また違う道を探して本当に長い年月がかかり、途中で自分には向いていないのだとあきらめてしまう人もいます。
バイオリンは習い始めて数年後、継続的に練習をする間に、あっという間に上達してしまう子がいる一方で、ノロノロとなかなか進まない子、練習をしているのに、思うように上達しない子が出てくるので、同じ時期に始めた子があっという間に上達するのを見ると、自分の子はなんで出来ないのだろうか?と焦って練習中の喧嘩で親子関係がギクシャクしたり、何で何度言っても出来ないのだろうか?とイライラしてしまうのです。
筆者は長年迷いに迷って悩み、色々な角度から学んだ今だから言えますが、弾き方、練習方法が分かり、継続して上達する練習をすればバイオリンは誰でも上達する事が出来る楽器です。
バイオリンが難しいのは、
- どう練習したら上達するかが分からない
- 勉強の進め方が分かっていない
- ゆっくり練習が面倒でつい速く弾いて、バイオリンを弾いただけで満足してしまう
- 正確に音程を取ったり正確にダイナミックを出来るようにするには細かい練習が必要なのに面倒で避けてしまう、、、
他にもありますが、出来ないに時には必ず理由があり、出来ない理由を取り除いてあげることで、出来ないが出来るに変わります!
そんな事は分かっていても、人間、面倒なので、かなりの強い意志がない限りどうしてもなんとなく練習してしまうのです。
そこで大切なのが親のサポートです。
運動神経があまり良くなく、何事を覚えるのに時間がかかった娘がある程度速く難曲を弾けるようになったのは、練習計画を考え、いかに分かりやすく弾けるようにするかを考え、実践してきたからです。
練習時間を決めたり、練習計画は親がサポートしてあげないと小さい頃には一人では出来ません。
バイオリンをどんな有名な先生に習おうと、勉強の仕方・進め方が分かっていないと、効果は半減してしまいますし、細かい部分まで掘り下げて練習出来なければ人を感動させる演奏は出来ないのです。
それから、どんなに上手な先生に習おうとも、その先生が教え方を知らず、ただ単に演奏を見せて、「こう弾くんだよ!簡単でしょ?」と言っても、そのレッスンを見て理解出来るだけの知識がない限り、どう弾いて良いか分からないレッスンを受けて、有名な先生に習ったからと満足して終わってしまいます。
なので、子供に必要な事は何なのかを見極めたり、時間を管理してあげたり、落ち着いて練習出来る環境を作ってあげたり等々、マネージャーのような存在の親のサポートが必要になるのです。
子供の頃の親のサポート、応援があるとないのでは上達にかかる時間が変わってくるので、親子でもめているエネルギー、時間があったら、子供を100%サポートする覚悟を決めて実行に移すことが上達の鍵なのです。
バイオリンを上達するには?
- バイオリンも勉強と同じで、基礎の練習方法を知り、何度も繰り返して基礎をしっかりとしたものにする。
- 基礎、練習曲、曲、など、一つの事に偏らず、効率よく毎日の練習をこなしていく。
- 落ち着いて練習出来る環境を作る
毎日親にがみがみと言われていると、子供はエネルギーを吸われてやる気がなくなりますし、疲れて練習どころではなくなります。
子供をサポートする覚悟を決め、落ち着いて練習出来る環境を作り、子供が自分に合った先生を一人で探せない時にはその子に合った先生を探してあげる。※子供は課題が出来なかったり、難しい事に挑戦してイライラしている時、親も一緒にイライラしない。
必要に応じてコンクールを設定したり、コンクールや本番に向けて体調を整えてあげたり、精神面でサポートをしてあげるのが親の役目です。
※心配がイライラに変わる事が多いので、心配しすぎない。子供がバイオリンが好きで少しでも前進しているなら良しとする。
子供は皆、色々な才能の持ち主
長年沢山の子供を見てきて思うのですが、子供の才能を伸ばすも潰すも親次第、環境次第です。
子供は夢中になる分野では驚くほど伸びます。
子供のやりたい、楽しいを上手に伸ばしてあげると、初めはノロノロとしていても驚くほど伸びる時期が来ます。
たっぷりの愛情と忍耐を持って子供を見守り、必要に応じて道を照らしてあげることで、バイオリンを楽しめ上達につながります。
※バイオリンが楽しくない子は他に向いている事があるので強制はしない。子供がやめたいと言う時にはやめる勇気も大切です。
ボーイングは、器用ですぐに直る子もいますし、少しずつ直る子もいる
バイオリンの練習で揉める原因の一つにボーイングがあります。
ボーイングを何度言っても直らない子供は、言い続ける(言い方が大切です)けれど、怒らない。
なかなかボーイングが直らない子でも、中・高生になり上達したいと思った時には、自らの意志で直そうと思い、鏡を見ながら必死で直します。なかな言っても直らない時は、まだ時期が来ていないと待つことも大切です。
直すのが遅くなってはと心配してがみがみとボーイング、弓の持ち方などを毎日しつこくうるさく言われると、練習のやる気を吸い取られて嫌になってしまい、バイオリンを上手にするのではなく、やめさせてしまう事もありますので、時には、放っておくことも大切です。
楽しいものはいつまでもやる
親子で練習をしていると、「ついつい何で出来ないの?」とイライラしてしまう事があります。
しかし、すぐ出来ない子でも時間をかけてあげれば出来るようになりますし、1年前よりは何か出来るようになっているはずなので、出来た事を褒めて喜ぶ。
バイオリン人生は長いですし、バイオリンが上手かそうでないかで幸せが決まる訳ではありません。
そして、テクニックや曲の進度が少しくらい遅くても、バイオリンはテクニックだけではなく、芸術作品・演奏でどれだけ人を惹きつけられるかなので、難しい曲が弾けなくても人を感動させられる力の方が大切なので、曲の進度が遅くても焦る必要はありません。
親は子供が幸せな人生を歩んで欲しいと思うものですので、昨日も今日も出来ていないではなく、「どうしたら出来るようになるのか?」「どう説明したら分かってくれるか?」「どうしたらやる気が出るか?」を考えて、少しでも進歩したら良しとするくらいの方のが続きますし、幸せなバイオリン人生を歩めます。
どうしても怒ってしまう時には、何で怒ってしまうのかの原因を探ってみる。
それでも怒ってしまう時には、一緒に練習をすることを諦めて先生にお任せし、のんびりと構えてもいいと思います。
小さい頃にノロノロと進んでいても、バイオリンが好きなら、何かのきっかけで上手になりたいと思った時に自分で先生を探したり、どうしたら上達するかを見つけて練習を始めるので、あまり心配しすぎない事も時には必要です。
権威のある先生から「あなたの子供は才能がない」と言われても
長年バイオリンを教えていると、残念なことに「前の先生にこの子はバイオリンの才能がないから、もしくは、音楽性がないから、練習しないから上達しない」と、相談を受ける事があります。
才能がないからではなく、
・練習方法を知らない
・ボーイングテクニックがなくて歌えない
・歌い方を知らない
・習得するのに他の子よりも少し時間がかかる子
などなどです。
才能がないから出来ないではなく、出来ない子がどうやったら出来るかを考えて教えるのが先生です。
才能がないから、練習しないから、音楽性がないから上達しないと言われても、子供がバイオリンを好きならば親は子供を信じて他の先生を探す事をおすすめします。
子供は色々な可能性を持っています。
ただ、伸びる時期は皆違い、小さい頃に不器用だから、出来ないから、向いていないのではなく、その子に必要な時間があり、バイオリンを好きという気持ちがあれば大きくなってからでも伸びるので、自分の子供を信じてあげて手を差し伸べられるのは親です。
歴史を見れば分かる通り、どんなに権威があろうとも、人は間違える事もあります。
オペラの作曲家で有名なヴェルディがミラノの音楽院の入試に通らなかったけれど、大作曲家になったという話は有名です。
大作曲家になるまではいかないかもしれないけれど、子供が好きで上手になりたいと思う限り、その子に才能はあり、その子を伸ばしてあげられる先生がどこかにいます。
怖い親は必要ではない
日本では、耐えることが美徳とされてきた時代があります。
しかし、子供の才能を伸ばすために怒ったり、怒鳴ったり、強制したりすることは、後々伸び悩む原因になったり、病気になる原因になる事もあります。
親子で練習をしていると、「これは数カ月もやっているのに何で出来ないの?」とついイライラしてしまうのですが、初めのうちは時間がかかる子供でも、じっくりと時間をかけて学んだ後には点と点が結びついて加速する時期が訪れます。もしくは、どうしたら出来るかが分かっていない可能性もあるので、どうしたら出来るかをどうしたら理解出来るかを考える必要があります。
そして、怒られると身体が縮こまり、余計にバイオリンが弾けなくなります。
バイオリンを弾くには、必要な部分を抜かして身体がリラックスしていないと、上手に弾けないものです。
日本の偉い先生のレッスンでは緊張して上手く弾けない事がありましたが、ヨーロッパへ来て、レッスンで変な緊張は必要なし、リラックスして音楽を楽しむことが大切だと知りました。
練習をいかに楽しくさせてあげるかも親次第です。
そんな事は出来ない、一緒に練習すると怒ってしまうという場合は、黙って練習を聞いてあげる。
子供は親が嬉しいと思う事が嬉しいものです。
親が「上手になったね!」「今練習している曲、いい曲だね」など、興味を示すことでやる気が上がります。
どうしても練習を聞いているとイライラしてしまうという場合は、先生にお任せする。
一時期練習から遠ざかるという選択もあります。
親の願いは、子供が幸せに暮らせることですが、子供の将来をとついつい心配しすぎたり求めすぎてしまう事があります。
子供のうちは骨が柔らかく、柔軟性があり吸収力が凄いので、小さい頃にある程度進んでいた方のが有利な事は有利なのですが、小さい頃にあまり練習しなくても、好きなら、自ら進んで何時間も練習する時が来ます。
楽しく学んでいた子は、大きくなって上達したい、と思った時、必死に基礎からやり直し、その子の目標とする所までたどり着きます。
バイオリンは楽しんで練習しても上達します。
親の役割は、子供が進んでいく道の少し先を行き、迷子にならないように道を照らしてあげる。
道を妨害したり妨げたりせずに、信じて見守る。
そして、いつでも手を差し伸べられる所で見ていてあげる事。
まだまだ未熟な筆者自身も常に自分に言い聞かせて忍耐の修行をしています。
本番が近くなると、親の方が焦って平常心を保てず、変にイライラしてしまったり、緊張してしまったりしますが、弾く本人の邪魔にならない事、サポートに徹底する覚悟を決める事。
本番が近くなると焦ってしまう場合、大丈夫と自分に言い聞かせる。
コンクールや本番で思うように弾けずにガッカリするのは子供だけ、親は一緒にがっかりしない。
冷静に判断し、励ます、足りなかった所は分析し、次回の時に役立てる。
ネガティブな言葉はかけない、ポジティブな言葉、そして、誰が何と言おうとも信じること。
子供の好きは大人が思うよりも凄い力を発揮します。