大人からバイオリンを始めて数年習ったけれど良い音が出ない、音程が取れないという方が結構いらっしゃいます。
バイオリンが上達しない原因は大人から始めたからではなく、
練習をしていない
もしくは、
練習の仕方が分かっていないから
という事が多いです。
バイオリンがなかなか上達しないのは
練習量
子供からバイオリンを始めた方のが身体が柔軟で物事を習得しやすいという面もありますが、器用な子、あまり器用ではない子がいて、子供から始めたから上達が早いというよりも、子供から始めて上手な子は大人から始めた人たちに比べて練習量が比べ物にならないほど多く、毎日決まった時間練習して練習期間も長いからです。
大人、特に大学生から始めて大学で毎日必死にバイオリンを練習したという人たちはブルッフのコンチェルトやヴィルトゥオーゾの曲を演奏したりと意外と弾ける人が多いので、大人からバイオリンを始めても練習次第では子供から始めた人よりも上達することもあります。
楽器の構え方、ボーイングなどに関する誤解
楽器の構え方やボーイングに関しては子供から始めても誤解が多いのですが、大人から始めて弾けるようにならないとレッスンにいらした方たちで多かった誤解を上げておきます。
・楽器を構える時に楽器を顎でしっかり挟みすぎてしまう。
→ 顎でしっかりと楽器を挟みすぎると首から肩、左手と全てがかたまってしまい、左手が自由に動くことが出来なくなり左手が思うように動かない、そして、ポジションチェンジが滑らかではなくなってしまいます。
左手が自由に動かないと右手にも影響を与え、ボーイングも自由に出来なくなる原因になります。
足は肩幅に開き、上半身はリラックスしていること。
顎でギュッと楽器を挟まず軽く頭を乗せる程度で上半身を出来るだけリラックスさせるように楽器を構えます。
バイオリンを弾く時に大切なのは、バランスとつながりです。
身体のバランスが取れることが大切で、どこかが身体のスムーズな動きを止めていると他の部分にも影響するので、身体の声を聞いて練習することも大切です。
・弓をしっかり持ちすぎて右手がかたくて音がかたい。
→ 弓をしっかり持ちすぎて右手に力が入っているとボーイングが曲がる原因になったり、音が汚くなります。常に右肩や二の腕がリラックスしているか確かめて練習することが大切です。
・汚い音を出したくないからと弓の毛を弦から浮かせてふわふわの音で弾いている。
→ バイオリンは弓の毛を弦にこすって音を出しています。弓を押しすぎてもギギという音を出してしまいますが、恐々と弓を持って弓の毛を浮かせて弾いていると良い音は出ません。
※時には空気を沢山入れた音を必要とすることもありますが、基本的には弓の毛は浮かせないで弾きます。
・音程が分からないので、音程がずれていても気づかずに弾いている。
→ 大人からバイオリンを始めて音感が良く綺麗な音程で弾いている方もいらっしゃいますが、音程が合っているか分からないという方もいらっしゃいます。音程が分からなければ、耳を鍛える必要があるので、ソルフェージュ、歌を歌って音程が分かるように練習していく。カラオケでもいいので、とにかく歌い出ている音を聞くことで段々と音程が分かるようになってきます。
大人からバイオリンを始めて上手になるためには?
1.先生選び
バイオリンを大人から始めて上手くなるには、先生選びがとても大切です。
何故なら、根気よく良い音が出るボーイング、音程を外さないようにするにはどういう練習をすれば良いかを教えてくれ、根気よく左手右手を少しずつ正しい形に持って行ってくれる先生に習うことで左手や右手の使い方が分かり、1年くらいもすればボーイングも綺麗な形になって浮いた音やかたい音を出さなくなる方が殆どです。
もちろん、スピッカートなどの色々なボーイングテクニックなどを習得するには何年もかかりますが、スピッカートなどもコツが分かり練習を重ねることで出来るようになります。
真面目に練習しているけれどバイオリンを弾くコツが分からないという場合、思い切って先生を変えてみることをおすすめします。
バイオリンは基礎がとても大事なので、ボーイング、左手の筋肉を鍛えたり、音階などを少しだけでも進めていかないと、いつか限界が来て弾けない曲が沢山出てきます。
大人からなので、楽しくレッスンをするために曲だけ教えるという先生もいらっしゃいますが、基礎が出来て良い音が出て弾きたい曲が弾けるからこそ楽しく弾けるので、きらきら星などの初歩の曲ではいいですが、基礎をおろそかにしているとそのうち限界が来ます。
大人から始めたから限界があるという方がいらっしゃいますが、基礎をしっかりと習えば大人から始めても楽器が鳴っている良い音は出ますし、左手を鍛えれば速い曲も弾けるようになります。
2.練習の仕方
大人から始めるから曲だけ楽しく練習したいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、曲だけを弾いていても基本が出来ていないと良い音が出るようにならず、左手も思うように動くようにはなってくれず、結局は楽しくなくなってしまいます。
基礎練習はボーイング、左手、音階など分けて毎日5分程度だけでも練習することで、少しずつ分かるようになります。
しかし、ボーイングや音程を気にせずに曲だけをどうにか弾こうとしても曲を弾くのに必死で間違えたボーイング、左手の動きで練習してしまう事が多く、なんとなくは弾けるようになるかもしれませんが、楽器を鳴らしてバイオリンの持っている本来の良い音を楽しむ、色々な曲を弾けるようになって音楽を楽しむようにならずに上達しないから楽しくないとやめることになってしまいかねません。
3.考えて観察する力
大人からバイオリンを始めるということは、何かの曲を弾きたい、バイオリンの音が好きだからなど理由があって自ら望んで始めるので、平日は出来なくても週末などに練習をしてくれる人が多いと思います。
良い先生に出会う事がなにより大切ですが、もう一つ大切なのが練習時の観察力です。
上手な子でもやってしまう避けたい練習は、なんとなく弾いて練習が終わる練習です。
そして、○○分、○○時間練習した、もしくは、音階、練習曲、曲など決めていた事を全てやったと満足してしまう練習です。
何故なら、ただ弾くだけだと気づかないうちにボーイングがあちこちに行っていたり、音程が外れたまま弾いていたりするからです。
バイオリンを上達するには、ボーイングが真っすぐ動かせるようになるような練習、正しい音程の所に指が行く練習をする必要があります。
なので、練習中、鏡を見ながら自分を観察したり、先生に言われたことが出来ているか考えながら練習することで今まで出来なかった事が少し出来るようになり、次の日はもっと上手に出来るようになります。
ゆっくり正しい動きを確認してから少しずつ速くしていくことで速く弾けるようにしたり、目的をもった練習をすることが大切です。
4.習慣にする
大人になってバイオリンを始める方は仕事をされている方が多いので、毎日決められた時間だけ練習をすると言うのは難しいかもしれません。
なので、毎日練習を出来なくても楽器を開けたらボーイングなどの基礎練習をする習慣をつけておくと、少しずつ左手の形が出来てきたり、ボーイングの感覚が分かってきたりして、曲に応用できるようになります。
次は何を練習しようかと考えるだけでもエネルギーを消耗します。
楽器ケースを開けたら練習することを書き出しておいて上から順番にこなしていくことで「何を練習するんだっけ?」と考えるエネルギーを練習中の集中力へと使うことでより充実した練習が出来るようになります。
まとめ
大人からバイオリンを始めて上達するのに大切な事は、良い先生との出会い。
そして、頭を使った練習と基礎練習を習慣にすることです。
バイオリンはバイオリンを弾く原理を理解し、身体を上手に使う事が出来れば大人から始めてもポップスの曲やバッハ、ヴィヴァルディ、ロマン派のバイオリンコンチェルトなども弾けるようになります。