バイオリン弦は数えきれないほどの種類があり、どの弦が良いのか迷ってしまう事があります。
この記事では、バイオリンを弾いて約45年、バイオリンを教え始めてから約30年が経つ筆者が様々な種類の弦を使ってみて、今現在私が気に入っている弦、生徒さんにおすすめしている弦をご紹介します。
どの弦を選ぶかは、楽器との相性、弾く人の好みがあるので、これが絶対におすすめと言い切れないので、弦を交換する時に色々と試して自分の楽器、自分の好みにあった弦を見つけてくださいね!
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バイオリン弦の種類
バイオリンの弦にはスチール弦、ガット弦、ナイロン弦があります。
この中で私が生徒さんにおすすめをしているのは、主にナイロン弦です。
何故なら、扱いやすいからです。
スチール弦
金属を芯材とした弦でチューニングが安定しやすいのですが、音色が硬い傾向にあります。
ガット弦
羊の腸を縒り合わせた繊維を芯材とした弦で、しなやかで柔らかく、深みのある暖かな音色を実現できます。
しかし、弾いてい調弦が狂うことが多いので、狂った調弦で正確な音程を取るような弾き方が必要なので初心者には扱いにくい弦です。
そして、ガット弦は価格が高いけれど温・湿度の影響を受けやすく、寿命が短いので、汗をかく夏場は弦を張り替えて少ししか使っていないのに切れてしまう事もあり、コスト面を考えるとあまりおすすめ出来ません。
筆者も20年くらい前まではガット弦を使っていましたが、価格と使いやすさを考えて最終的には長持ちし、扱いやすいナイロン弦を使うようになりました。
ナイロン弦
ナイロンだけでなく様々な合成繊維を芯材とした弦で、音色はスチール弦よりやわらかく、弦の種類によってはガット弦に近い深みもあります。
ガット弦とスチール弦の中間の弦と言っていいナイロン弦は、チューニングも数日で安定しますし、寿命はガット弦よりも長いので使いやすいのが特徴です。
弦の交換時期
バイオリン弦は消耗品で、一定時間弾くと音に輝きがなくなって音程がぴったりと合わなくなってきます。
弦によっては、急に音がガザガザになってすぐに「寿命が来たな。」と分かる弦もありますし、響きが悪くなるだけで良く音を聞かないとすぐには分からない弦もあります。
理想としては、音に輝きがなくなってきて音程がなんとなく合わせにくくなってきたら交換して欲しいところですが、弦によっては4本交換すると1万円を超えるので、輝きがなくなってからも少し我慢して使い、本番の1週間前には交換するというのでもいいと思います。※将来バイオリニストを目指している場合は、共鳴して綺麗な音を聞き分ける耳を育てないといけないので音程を合わせにくくなったら交換することをおすすめします。
ちなみに、毎日5,6時間くらい練習をした場合、季節にもよりますが、1カ月くらいすると音に輝きがなくなるのが分かります。弦によりますが、2カ月くらい使うと、音が「あ、もう限界かな」となるので、嫌でも全ての弦の交換となります。
弦を交換する時期というのは、出来れば弦が響かなくなったら交換するのがいいのですが、そこまでの音色を求めていない場合は、弦に切れ目が入っていたり、弦を触って少しピリピリするなと思ったなどの合図を感じ取って交換するといいと思います。
コスパの良いバイオリン弦
ナイロン弦がおすすめと書きましたが、ナイロン弦だけでも沢山の種類があり、どれを選んで良いか迷ってしまうと思うので、使ってみて良かった弦を紹介しておきます。
ドミナント
楽器との相性があるので、これが一番いいとは言えませんが、価格、音の響きなど全てを考えた時に気軽に使えるのがドミナントです。この弦は、4本交換しても5,000円程度と比較的高くなく、音質は飛びぬけて素晴らしくないけれど、悪くないので多くの人に愛用されています。
ドミナントを使い、E線は価格が安い割に悪くない音で気軽に交換できるGoldbrokat(ゴールドブロカット)を使っている人も多いです。
ドミナントの寿命は1週間とも言われていますが、音質に拘らなければ1~3ヶ月は使えます。
Goldbrokat(ゴールドブロカット)
E線のみですが、他の弦と比べると低価格で他の弦との相性が良いので、多くの人に愛用されています。
Vision ヴィジョン
ドミナントよりも安い弦が良いという方におすすめなのがVision ヴィジョンです。
良く言うととても柔らかい素直な音のする弦で、悪く言うと個性がなくパッとしない弦なのですが、ドミナントと同じくらい多くの人に愛用されている弦です。
娘が小さい頃にヴィジョンを試したのですが、しっかりとした音が好きだったので、1/2の楽器まではドミナントを使っていました。
しかし、ヴィジョンの弦を使っている生徒さんがいて、とても柔らかい優しい音で弾いていて、ヴィジョンの良さを発見。
ヴィジョンを使っている生徒さんの楽器にはドミナントよりもヴィジョンのほうが合っているから弦選びは不思議なものです。
ヴィジョンの弦はパワーがないので、大きなホールで弾くには向きませんが、小さな演奏会、練習用にはなかなか良い弦だと思っています。
音質にこだわる人におすすめナイロン弦
弦を変えるだけで音がガラッと変わるので、ドミナントの音では物足りない方は、下記の弦をお試しください。
おすすめNo.1 Evah Pirazzi(エヴァピラッツィ)
大きなホールで弾くようなポテンシャルのある楽器によってはドミナントの弦は相性が良くない事があり、弦が楽器のパワーに耐えられずギシギシという音がしてしまうこともあります。
そんな場合は、エヴァピラッツィを試してみてください。
ヱヴァピラッツィの弦は、音量があり華やかな音でパワーのある楽器との相性が良いです。
そして、音のレスポンスが良いので音の発音が良くなります。
煌びやかな輝きのある音ですが、音は強めなので、好みが分かれる弦です。
Kaplan Non-whistling
おすすめNo.2 LARSEN ラーセン バイオリン弦 IL CANNONE イル カノーネ
パガニーニが愛用していた楽器、ガルネリデルジェスのカンノーネモデルと同じ名前の弦です!
(イタリア語ではカンノーネと発音しますが、何故か日本語ではカノーネとなっています。)
いつも楽器を試奏させていただいている工房で一度弾いたことがあるのですが、力強く素晴らしい響きでリスト向けの弦です。
パガニーニ大好きファンが、パガニーニが使っていた【カンノーネモデル】の楽器をオーダーし、弦も同じ名前の【イル カンノーネ】を使って欲しいとオーダー。
丁度出来上がった時に弾かせていただいたのですが、今でも忘れられなほど魅力的な音でした。
パガニーニ好きの方、是非一度お試しあれという弦です。
No.3 LARSEN Virtuoso(ラーセン ヴィルトゥオーソ)
華やかで深みのある音で私は気に入っていますが、ヱヴァピラッツィのほうが音量、音のクリアさがあるのでソリストとして弾く場合はヱヴァピラッツィをおすすめしています。
楽器との相性があるので、色々な弦を試してみたい方は是非試す価値のある弦です!
Larsen Tzigane(ラーセン ツィガーヌ )
柔らかく落ち着きがあるけれど、芯のあるしっかりとした音のツィガーヌは、ソリストのような大音量ではなく、室内楽やオーケストラ向けの弦です。
とても暖かく太い響きの弦なので、歌う曲に向いています。
Evah Pirazzi Gold (エヴァピラッツィ ゴールド)
力強い音の中に柔らかさがあり、綺麗な響きの弦のヱヴァピラッツィ ゴールド。
ヱヴァピラッツィのゴールドを愛用しているプロの方も多いですが、個人的にはヱヴァピラッツィのほうのが音がクリアで好きというのが本音です。
ゴールドは弾いた時に音量が凄い!と思うのですが、少し金属的な音がするので、現在はヱヴァピラッツィを愛用しています。
多くの方が使っているので、一度試してみる価値はある弦です。
使って良かったおすすめバイオリン弦のまとめ
弦は楽器との相性、弾く人の音の好み、どこで弾くか(室内楽なのか、大きなホールで弾くのか)にもよるので、弦を交換する時に色々な種類を試してみるのが一番良いです。しかし、あまり高い弦を使いたくないという方、ドミナントとE線のみゴールドブロカット、もしくはヴィジョンが一番おすすめです。
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