バイオリンの練習では右手・左手を鍛えていきますが、比較的難しいのが右手。
ボーイングテクニックです。
小学生で難曲を弾きこなし国際コンクールで賞を取るような子でも右手はまだまだという子が多いのが現実です。
何故難曲を弾きこなす子でもボーイングが出来ていない子がいるかというと、小さい頃にボーイングをうるさく言って必要以上の時間を費やすなら先に右手よりも分かりやすい左手を強化して左手のテクニックを教えておきたいと考える先生がいらっしゃるからです。
そして、中学生になると急に背が伸び、身体のバランスが変わったり、骨が重たくなってきたりするので、今まで弾いていた感覚では弾きにくくなってしまったりします。
なので、中学生くらいに一度ボーイングの基礎からもう一度やり直して確実な基礎を作る必要があるので、比較的簡単にボーイングを習得出来ない子に対しては他の事を優先するからです。
なので多くの指導者がボーイングに関してはある程度目を瞑っていて、時期が来たらボーイングをやり直させようと考えているのだと思います。
この記事では、ボーイングを見直すタイミング、そして、どのくらいの期間と時間がかかるのかを書いておきます。
これは、あくまでも長年教えてきた経験を元に今の時点での考えですので、ある一例として参考程度にしてください。
※大人の生徒さんは、左手右手を少しずつ進めていき、何度も何度も左手・右手の正しい動きを教えて少しずつ習得していくことで綺麗なボーイングで弾けるようになります。
ボーイングの基礎を見直す時期は?
子供の場合
小学生の頃、大人から始めた場合は、始めた時からボーイングは弦に対して90度で弾けるようにという事は耳にタコが出来るくらい聞いていると思います。
しかし、左手では音程を取らないといけないし、左手は速い動きが必要な時に右手はゆっくり動かさないといけないなど、考えることが沢山ありすぎて全部の事を気にしている余裕などないのが現実です。
そして、小学生の子に左手・右手のコントロールをさせて弾かせるのは、週何回も教え上手な先生のレッスンに通う、もしくは親がバイオリニストや練習をさせるのが上手で毎日の練習をしっかりとコントロールしてやっと出来るかなというくらい大変です。
なので、一番いい時期は、中学生くらいに時間をかけて丁寧に基礎を見直すことです。
何故なら、
- 楽器がフルサイズになり、音の出し方を学ぶ良い機会だから。
- 身長が伸びて今までのバランスでは楽器が今までのように弾けなくなる時期なので一度基礎を見直す良い時期だから。
- 今までの人生経験から色々な方面から物事を考えられ、先生の言っている事が頭で理解できる時期だから。
- 多くの子が身体の動きを自分で思うようにコントロール出来るようになっているから。
※小さい頃から身体をコントロールするように訓練していれば、小さい子でも弓のコントロールは可能ですが子供の身体能力の差があるので出来る子は少ないと思ったほうがいいです。
大人の場合
大人から始めた場合は、始めた時から正しい身体の動きを覚えることが大切だと思っています。
どう身体を動かす練習をすればボーイングが真っすぐになる、どうしたら良い音が出るという事が分かり、身体をボーイングが真っすぐになるような動きを練習していくことで良い音で弾けるようになります。
この時、左も右も考えて練習をするとどちらかがおろそかになってしまうので、左だけ練習→右だけ練習→両方合わせて練習と分けることで身体の動きを正確にコントロール出来るようにしていきます。
ボーイングを見直すのに必要な時間
大人の方、中学生、バイオリンの先生などにボーイングを教えてみると、正しい弓の持ち方を知り、脱力をすることを気にして毎日練習すると遅くても大体4カ月くらいで「あ、もしかするとこんな感覚かな?」と少し音が変わります。
しかし、理解するのと使えるのは違い、何年も力を入れて弾いてきたので、すぐには使いこなせません。
毎日の練習で根気よく音をよく聞き、リラックスするボーイング練習を1年、2年と続けていくと、少しずつ音が変わってきて、力の抜き方、どうしたら良い音が出るかが分かってきます。
しかし、リラックスして良い音が出るボーイングが分かっても曲でも使えるようにするのには、曲の練習時に良く音を聞き、リラックスを心掛ける必要があります。
参考までにどのくらいかかるかの例をあげておきますが、人それぞれですので、もっと早い、遅いかもしれないので、根気よくコツコツと練習してくださいね。
音大を出て既に指導されている先生
弓の持ち方、ボーイングを説明すると、すぐに分かり、1カ月もしないうちに効果が分かる方もいらっしゃいますし、3,4カ月くらいかけてレッスンの都度弓の持ち方の修正をし、分かるまで1年かかった方もいらっしゃいます。
中学生
どのくらい理解出来るかによりますが、1時間半のレッスンを週2回1カ月間毎回ボーイングのレッスンをして理解出来た子。(理解出来たといっても、曲で使えるようになるには半年くらいかかりましたし、2年後でもまだ完璧ではなく習得することがあります)
他には2時間のレッスンを週4回続け2年以上かかった子。
今までどんな事を練習してきたか、身体の柔軟性や運動神経などにもよるので、人それぞれです。
一つだけ言えることは、毎日少しずつでもいいので良い音が出るようなボーイングを意識して練習することが大切です。
大学生・大人から始めた人
理解度は人それぞれですが、大人の方はどうしたら綺麗なボーイングで弾けるか理解は出来ても身体が思うように動いてくれない。
理解はしても夢中で練習していると身体の動きまで気を付けられなくてなかなか直らないという方が多いです。
しかし、綺麗なボーイングで弾くにはどう練習したら良いかが分かれば、大人の方はバイオリンを弾きたいと自分で始めた方なので、練習して数カ月でボーイングを真っすぐにする方が多いです。
まとめ:ボーイング矯正はいつする?
子供
小さい頃から正しい弓の持ち方、ボーイングを教え、時間をみては何度も説明しますが、小学生で理解するのは結構難しいです。
フルサイズになった時に一度基礎を見直すと小学生の時よりもすんなりと分かってくれますが、理解するのと使うのは別なので数カ月から数年コツコツとしたボーイングの練習が必要です。
ボーイングを見直すには時間はかかりますが、一度理解してしまえば自転車に乗るのと同じでその後は自由にどんな曲でも弾けるようになるので、もっと良い音で弾きたいなと思ったらボーイングを見直してみてください。
ボーイングは左手の技術よりも難しいので、小さい頃になかなかボーイングが出来ないと悩みすぎずに少しずつ成長を見守ってあげてください。
大人
大人は出来れば習い始めから綺麗なボーイングで弾けるように気を付けて練習することをおすすめします。
どう練習したらボーイングが真っすぐになるかが分からない場合、
・どのような身体の動きを習得する必要があるか
・どうしたらボーイングを真っすぐに出来るのか
・良い音を出すにはどうするのかを
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