先日、大人の方から「バイオリンの練習を練習しても上達しない」、「練習をすればするほど下手になっている気がする」けど、どうしたら良いか分からないという質問を受けました。
出来ない部分を試行錯誤して練習を重ねるうちに、ムキになって力が入り、更にどうしたら良くなるか色々と試しているうちに訳が分からなくなってしまったようです。
練習しても上達しない、練習すればするほど下手になっていく気がするという問題を解決するためには、いくつかのアプローチがありますのでご紹介します。
バイオリンを練習しても上達しない時
1. 練習の質を見直す
バイオリンは正しい身体の使い方をすることが大切なので、練習時間が長くても正しい身体の使い方が出来ていない場合、間違えた弾き方を練習しているので、練習をしても上達しなかたり、練習すればするほど下手になる気がするという事が起こります。
気を付けること
目標を明確にする:毎回の練習に具体的な目標を明確にし、その達成に向けて集中する。
例えば、音質を良くするなら、どんな時に音が良くなるのかを知り、音が良くなるボーイングを身体に覚えさせます。
音程が悪い時には、ゆっくり正しい音程の位置に指が行くようにして少しずつ速くする練習をします。
練習時間
短時間で集中する:長時間の練習よりも、短時間で集中して頭を使って行う練習の方が効果的です。
練習中は意外と自分の音に耳を傾けていなくてなんとなく弾いていていたりするので、ダラダラと練習せず、出来ない部分を短時間集中でどのように身体を使うのか考え、音を良く聞きながら練習すると正しいフォームが身に付きます。
※子供の場合は、自分が出している音を頼りに感覚で何度も練習することで上達して行く子もいます。
客観的に見る
フィードバックを受ける:自分の演奏を録音して聴き返したり、先生や仲間からフィードバックをもらう。自分の録音を聞く時には楽譜を見ながら聞き、どこをどうしたいかを書き込んでおく。
メトロノームを使ってテンポが自己流になりすぎていないかなどのチェックもおすすめです。
2. メンタル面
スランプに陥る原因の一つに、メンタル面の問題があります。
「ここは難しい所なんだよね」とか「ここは音程を外しやすい所」などと思ってしまうと身体が反応してその通りになってしまう事があります。
難しいと思うと身体が委縮してしまって間違える原因になってしまう事があるので「出来る」「負けない」と自分に言い聞かせて音程なら「確実に正しい音程の位置に指を持って行く!」、ボーイングなら「正しい方向に弾く!」と自分の身体に言い聞かせて間違えそうで怖いを乗り越える気力が必要です。
そして、出来ないと固執してしまったり、夢中になって力を入れて弾いてしまう事があります。
出来ない時には一度楽器を置きリラックスして、深呼吸やストレッチをして集中力を高めて練習してみます。
それから、何時間も続けて練習する時はダラダラと弾いているという事が結構あります。練習時間を25分、50分などに分けて間に数分の適度な休息を取ることで、心身のリフレッシュが図れます。
楽器を弾く姿勢は自然ではないので同じ姿勢ばかりしていると身体を壊す原因にもなります。
無理をせず、休息を大切にしましょう。
3. 新しいアプローチを試す
同じ練習方法に固執せず、新しいアプローチを試してみることも効果的です。
異なる練習方法を取り入れる
出来ないボーイングをスケール練習やエチュードなどに取り入れて練習してみる。
曲の中で出来ない原因が音程なら、シェフチーク(セブシック)で音程練習を取り入れる。
歌い方や音質なら他の楽器や音楽ジャンルに触れることで、新しい視点や発想が出て来るかもしれません。
4. 専門家の助けを借りる
スランプから抜け出すためには、専門家の助けを借りることも有効です。
家で何時間も何日も悩んでいた事を先生に相談することで一瞬で解決出来る事もあります。
先生は「難しい部分をどうしたら弾けるようになるか」、「この音色を出すにはどうすれば良いか」等々を何年も何千、何万時間もの時間を使って考えてきています。
自分で何年か色々と試せば解決出来るかもしれませんが、何年もの時間を無駄にしないためには出来ない所は先生に聞いて解決するのがおすすめです。
もしくは、自分よりも弾ける友人などに聞くなど他の奏者と交流し、新しい知識や技術交換をするのもおすすめです。
まとめ
バイオリンは、第一ポジションで音程を取れるようになったと思ったらポジションチェンジを覚え、重音の手の形を習得し、右手は良い音が出るようになったなと思ったら弓を跳ねさせたり飛ばしたり、、、。
練習することが沢山あり、何年も何十年も練習をして習得していくので長い道のりです。
コツさえ分かって練習すれば弾けるようになるので、焦らずに一歩一歩進んでいくことが大切です。
練習しても上達しない「練習迷子」になってしまった時には、練習方法を見直してみる、録音したり鏡で自分の演奏を客観的に見てみることで解決することもありますが、時間を節約したい場合、専門家に相談するのが一番の近道です。